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私はこれまで母方の親戚と面識がなかった。これと言って理由があったわけではなく、単に機会がなかったのだ。それが先日、この年になって初めて外祖母の兄弟、つまり大叔父さんと顔を合わせることになった。当然、祖母と大叔父さんは昔話に花を咲かせた。
ところで、私は昔から美術が得意で、特段努力をしなくても市のコンクールで入賞することも多々あった。大叔父さんの話に戻ると、彼らの母親、つまり私の曽祖母は手先が器用で有名だったと言う。さらに、親戚には華道の名手や画家などもおり、芸術に富んだ血筋なのだとか。
私はそんな話をこれっぽっちも聞いたことがなかったので、自分はたまたま芸術肌なのだと思っていた。しかし考えてみれば、私の母は美大卒だし、兄たちも幼い頃から絵がうまかった。そして初めて顔を合わせた大叔父さんも芸術家だったのだ。
初めて会った大叔父さんは、これまで実質的な関わりはなかったが、私たちの「得意」は似通っていた。そして、この同じ「得意」を通じて、私は初めて会った目の前の人との血のつながりを確かに実感した。私たちは同じ「得意」を同じ祖先たちからつないできたのだ。
もしかすると、あなたの「得意」も、あなたの祖先が支え受け継いだ大切なルーツかもしれない。そう考えると自分を通して知らぬ祖先と交流するようでワクワクしてしまう。
(いなり)